ポストコロナ時代のリモートワーク -それでもオフィス不要にはならない
7,170,000,000という数字。
「リモートワーク、ポストコロナ」というキーワードをGoogleで検索すると、約7,170,000,000件もの結果が表示され(2020年6月22日現在)、リモートワークに関連するコンテンツが数多く存在することがわかります。
ほぼ毎週のように、様々な企業が2020年末まで完全なリモートワークの実施を決めたと耳にします。Google、Facebook、Microsoft、Slack、Zillow、Palo Alto Networks、Box、さらにはカリブ海地域で最も有名な保険会社であるSagicorも同様の決定をしました。
リモートワーク関連のニュースを見ると、ポストコロナの時代ではあたかもオフィスが廃止され私たちは完全にリモートで仕事をしているかのように伝えられていますが、実際にそうでしょうか?
オフィスやリモートワークの将来はどう変わるのでしょうか?ポストコロナ時代において企業が直面するプライバシーやセキュリティの課題について、どう対策を講じていくべきなのでしょうか?この疑問を調査するため、多様な業界の幹部や人事トップにインタビューを行ったところ、全員が一致した見解がありました。それは、オフィスは存続するということです。
オフィスが必要な5つの理由
-経営者や人事トップの見解
I. 物理的なオフィスの存在は、名声、ブランド戦略、信頼を表す強力なメッセージ
ビジネスチャットのソフトウェアメーカー、Chantyの創業者であるディミトロ・オクニェフ氏は「物理的なオフィスは企業の名声を表し、ビジネスの成功を見込み客やライバル企業に示すことのできる手段です」と語っています。
プロフェッショナル人材派遣会社PEOCompareの人事マネージャーであるネルソン・シャーウィン氏もよると、多くの顧客は完全にリモートワークをしている企業に対し少なからず偏見や不信感を持っており、ブランディング上の評価だけでなく、このような理由から実際のオフィスを見たいと思っているそうです。ネルソン氏は、「顧客は、実際オフィスに来訪し対面でのミーティングを行った上で、その会社について基本的な精査をしたいと考えています。Skypeなどのオンライン面談を通して判断することは不可能です」と述べています。
証券会社Mitradeの人事マネージャーであるジェームズ・ジェイソン氏は、リモートワークがいかに効率的であっても、顧客やビジネス関係者が誰かのプライベートに踏み込むような不安を感じずに、直接来訪できるビジネススペースが必要であると確信しています。
またオフィス家具メーカーPoppinの人事主任であるアリソン・シュウォン氏によれば、物理的なオフィスは推奨されるものではなく必須であると述べ、「顧客は実際に製品を見て評価したいと考えます」と語っています。
そして建築会社Cooper Carryのブランド戦略主任、キャサリン・ストーン氏は次のように主張しています。「物理的なオフィスは生産性を高めるためだけの場所ではなく、スタッフが企業のミッションや理念を共有し活動を行う場です。つまりオフィスはその会社の戦略を物理的に明示するものなのです」
Ⅱ. 社会的交流は完全なリモートワークの環境下では再現しにくい
「人間は社会的動物である」は哲学者アリストテレスの言葉ですが、これはデジタル時代においても正しいと言えます。「テクノロジーは素晴らしい資産ですが、人間同士のつながりに代わるものはありません」とデジタルマーケティングを専門とするIT Media社オーナーのアシュレイ・モンク氏は述べています。
エグゼクティブコーチングおよび経営コンサルティング会社、BeyondBetterの取締役であるエイミー・デヴェロ氏は、新たなテクノロジーがリモートワークを可能にする一方で、人との交流の機会が失われていると危機感を表しました。さらに、「カジュアルで意図的でない対話によって、ビジネススキルや社会的スキルは驚くほど向上していくものなのです」と強調しています。デヴェロ氏によると、それは休憩室での会話、立ち聞きしたスタッフ同士の会話や、誰かの発言に対し人が見せた反応(ボディランゲージ)などが含まれるのだそうです。このようなコミュニケーションは取るに足らないかもしれませんが、結果的に「経験、学習、より良い人間関係における信頼の膨大な蓄積」となるとデヴェロ氏は結論付けています。
イベント運営会社3C Strategies LLCの創業者兼CEOであるクリス・チャン氏は、デヴェロ氏の発言に同意し、「休憩室やコーヒーブレークでの交流がない仕事環境では、カジュアルな場面で人間関係を築く重要な側面が失われてしまいます」と述べました。そして、「それが問題にならない人々もいますが、まだ仲間をよく知らない新入社員にとっては交流の場がないと孤立してしまう可能性があります」と付け加えています。
テクノロジー調査会社Software PunditのCEOであるブルース・ホーガン氏は、この社会的交流こそが重要であると強調しました。「仲間と直接対話することで絆が深まります。オフィスがなければお互いを知ることはできないでしょう」とブルース氏は語っています。
Ⅲ. イノベーション人材育成はオフィス環境の方がよい
「私たちはチームの生産性が劇的に向上したことを幸運に思い、最高のサービスを提供するために尽力しています」とSplashtopのCEO、マーク・リーは述べています。最近のリモートワーカーを対象にした調査結果では、大多数のワーカーが生産性が向上したと回答しています。しかしながらリモートワークの環境において、社員が成長し生産性を維持するための適切な対策がとられていなければ、逆に生産性が損なわれる可能性があります。
Mancini Duffyはニューヨーク市で100年の歴史を持ち、顧客と密に連携しながらオフィスの未来の形をデザインするテクノロジーファーストの建築会社です。同社のCEOであるクリスチャン・ジョルダーノ氏は「テレビ会議や画面共有では、思いがけない創造性やイノベーションは生み出されないでしょう」と述べています。
「なぜなら、最高のビジネスアイディアやオペレーションは人と人とが直接対面する場で思いつく場合が多いからです」と、イギリスに拠点を置き、AIを活用したマネーフローの検索サービスを提供するmnAIのCEO、ジョン・クッシング氏も言います。
3C StrategiesのCEO、クリス・チャン氏はこの創造性やイノベーションの低下について、次のように説明しています。「在宅ワークで快適な個人のスペース内に留まることによって、コンフォートゾーンやルーティンから抜け出しづらくなります。それが刷新的なアイディアの創造を妨げる可能性があるのです」
さらに、デジタルマーケティング会社Robben MediaのCEOであるブライアン・ロッベン氏は、効果的な社員研修やメンタリングは対面式であるべきと付け加えました。「もしオフィスがなければテレビ会議やメールから学習するしかありませんが、対面式と同じ結果は得られません」
Transcription OutsourcingのCEOであるベンジャミン・ウォーカー氏は、人事評価もオンライン上では難しいと主張しています。「上司が職場に戻る場合、自分も同じく職場に戻る必要があります。上司の目の届く社内で仕事をしなければ、他の誰かが昇進昇格のチャンスを手にしてしまうこともあり得ます」
Ⅳ. 分かれた見解-リモートワークとオフィス環境における精神的健康リスク
完全に在宅勤務へ移行すると、仕事とプライベートの境界線が不明瞭になりがちです。BeyondBetter社のエイミー・デヴェロ氏は、毎日自宅という同じ環境の中で生活、仕事、睡眠、食事を繰り返すことによって精神的な停滞を引き起こしかねないと述べています。
これはなぜでしょうか?デヴェロ氏によると、オフィスに行くことは脳に新しい刺激をもたらすのだそうです。「通勤やオフィスで、ランチで外出した時やエレベーターで見知らぬ人々に会ったりしながら、私たちの脳は新しい情報を受け取り新たな神経回路を作っているのです」
CalendarのCEOであるジョン・ランプトン氏は、オフィスに行くことでワークライフ・バランスを維持できるため、社員はオフィスに戻ることを心待ちにしていると言いました。
一方で、リモートワークが実際にメンタルヘルスに良い影響を及ぼすという人もいます。通勤時間や仕事中に注意散漫になることも減り、社内の人間関係に悩まされることも少なくなるので、より快適な仕事環境を構築できるといった考えもあります。ただし、職種や社員の居住環境(一人暮らしであるか)、性格タイプ(内向型か外向型か)によってこの環境状況は変わってくる可能性はあります。
Ⅴ. セキュリティやITインフラ管理における課題
オフィスは同僚との交流の場だけではありません。ハードウェア、サーバー、IT端末を管理する所でもあります。多くの企業にとって重要なITインフラを形成する場所がオフィスです。
「オフィスのシステムをそのままリモートワーク先へ移管するには、多大な労力やコストがかかります」と、高級ヘアエクステンションとアクセサリーのオンラインストアを経営するAmazing Beauty HairのCEO、ジャック・ワング氏は言います。
また、デジタルセキュリティとインフラの信頼性も考慮すべき要素であると、企業向けの健康追跡アプリを開発しているOntrackの運用技術担当部長カミロ・バレロ氏は説明しています。「自宅の高速インターネットからVPN経由で社内ネットワークに接続する場合、一部の企業はセキュリティプロトコルに対応した、または一定の技術水準を満たしたシステムを運用しています」
大手ITマネージドサービス・プロバイダーSabinoCompTechの共同創業者であるナンシー・サビーノ氏は、在宅勤務時は予測できないネットワーク接続や対応周波数帯の問題、セキュリティ問題が起こりうると言及しています。抗体検査機器メーカー、Boster Bioの営業担当部長であるCJ・シァ氏によると、ハッカーはスマートホーム機器を狙うことがデータ上わかっており、自宅のWi-Fiからオフィスサーバーが攻撃される可能性があるとのことです。
SabinoCompTechのサビーノ氏は、「社員の仕事環境を整えるためスムーズで安全なアクセスを確保するには、自宅のインターネットやリモートアクセスツールを適切に管理・保守する必要があります」と述べています。
結果としてオフィスは必要か?
これまで述べられてきた懸念にもかかわらずリモートワークを希望する労働者は増えています。IBMが実施した最近の労働人口調査では、75%の労働者が少なくとも一部でリモートワークを続けたいと回答しており、半数の54%以上が今後はリモートワークを基本としていきたいと考えているようです。
その他多くの調査においても同様の結果が報告されています。大半の調査では60%の労働者がリモートワークを希望している一方、残る40%の労働者はどんな働き方を希望しているのでしょうか。この調査結果を見た限りでは、企業が社員にとってどんな働き方がベストなのかを判断するのは難しいのかもしれません。
企業のRFPやRFI等の作成を支援・管理するソフトウェアメーカー、RFP360のCEO兼共同創業者デイヴィッド・ハルセン氏は、社員が希望する働き方について調査を行いました。その結果、社員は依然として職場での社会的交流を望んでいますが、オフィスへの完全復帰を望んでいるわけではないことがわかりました。「リモートワークと人々が直接対話できるソーシャルスペースの両方が必要だという声が高まっています」とハルセン氏は述べています。
SplashtopのCEOマーク・リーはこれに対し、「今やリモートワークが当たり前の時代となり、いくらオフィスが必要であるからと言っても、リモートワークなしの生活に戻ることはできないでしょう」と付け加えました。そして、「オフィスが有益であることも、リモートワークに素晴らしい利点があることも事実です。それは、オペレーションコストの削減、グローバル人材の確保、Z世代のようなデジタルノマドを引き付ける働き方、通勤時間の削減、業務の効率化による生産性の向上、二酸化炭素排出の削減や事業継続性など多々あります」と述べています。
オフィスの在り方や働き方は今後どう変わっていくか、そしてオフィスは必要かという問いに対する答え、それは、私たちはこれからリモートでの勤務とオフィスでの勤務両方を併用したハイブリッド勤務体制の導入に向かっていくということです。社員のワークライフ・バランス、社会的交流の場、堅牢なセキュリティ、高生産性の維持、コスト削減などそれぞれの仕事環境の利点を生かし合い、最適な働き方を実現することができるのではないでしょうか。
もしハイブリッド・リモートワークの導入を検討中であれば、私たちSplashtopが支援いたします。何千万人ものユーザーをサポートするプラットフォームとして、様々な業種の企業が時間や場所にとらわれない働き方を取り入れ高い生産性や労働力を生み出すためのお手伝いをいたします。
ハイブリッド・リモートワークを導入しポストコロナ時代に備えるために必要なこと
Splashtopについて–柔軟な働き方を支援するパートナー
米国・シリコンバレーに拠点を置くスプラッシュトップ社(Splashtop Inc.)は、高機能で業界トップクラスのリモートアクセスとコラボレーション・ソリューションを提供しています。スプラッシュトップビジネスは、場所を選ばずどのデバイスからでも会社や自宅用パソコン上のアプリやデータへのアクセスを可能にします。スプラッシュトップリモートサポートはIT管理やMSP向けのパソコン、産業用モバイル機器、IOT(Internet of things)のサポートやメンテナンスを行えるソリューションです。スプラッシュトップオンデマンドサポート・ソリューションにより、ITサポートやヘルプデスクチームはパソコン、iOS、Androidデバイスに遠隔地からアクセスしサポートをすることが可能になります。スプラッシュトップクラスルームなどのコラボレーションツールは、授業やプレゼンテーション等一対多数の場面において、各デバイス上で効果的な画面共有を可能にするソリューションです。Splashtopの製品は全世界で 3,000万 人以上のユーザーに利用されています。詳しくは、splashtop.co.jpをご覧ください。
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